「国際ロマンス詐欺の被害金を返金します」が嘘だと知って呆れている女性

「国際ロマンス詐欺で騙されたお金を取り戻します!」などと宣伝している弁護士事務所や司法書士事務所は、ほぼ悪徳だということを説明したいと思います。

【1】そもそも取り戻せない

国際ロマンス詐欺の犯人のイメージ

国際ロマンス詐欺の返金率は、ほぼ0%です。
返金に成功したという人は、殆どいません。
という話を複数の弁護士から直接聞きました。

「相手の銀行口座に振り込んだ」などの単純な手口で、なおかつ時間的にも気付くのが早い場合は返金が可能な場合もありますが、第三者に送金してしまった場合は、返金は極めて困難になります。その理由は、国際ロマンス詐欺の当事者である相手と、その第三者がグルだという証拠を示すことが非常に難しいからです。

たとえば少し前に流行った「全財産をあなたに郵送したが税関で止められた。弁護士を雇わなければならないが手持ちがない。日本に着いたら必ず返すから弁護士費用を建て替えてくれないか?」と言ってニセの弁護士事務所の口座を教え、そこに振り込ませるという手口。

勝手に振り込まれた金に返金義務があるかどうかは、その国の法律に依存します。たいていは、そのような義務がない国を選んで詐欺を仕掛けていることが殆どです。

そもそも運良く相手を特定できたとしても、相手に返済能力がなければ、事実上お金を取り戻すのは困難です。実は、国際ロマンス詐欺の返金を謳う弁護士や司法書士は、着手金だけ受け取って何もしないインチキ野郎が大半なのです。

※参考リンク
国際ロマンス詐欺、弁護士による二次被害も – 弁護士ドットコム

【2】最新の詐欺の手口とは?

国際ロマンス詐欺の手口

最新の手口は上記のような構図になっています。「絶対に儲かる方法がある。お金を作って2人の結婚資金にしよう」などの甘い言葉で、海外の投資サイトやカジノサイトへ誘導。最初の内は10万円があっという間に100万円になったりと順調ですが、もちろんそれは信用させるためのトリック。次第に大きなお金を投資、または賭けさせ失わせていきます。

右上に「詐欺の計画を提案」と書いていますが、巨大な詐欺組織のケースもあります。なにせ世界中の詐欺師が、真面目で金払いの良い日本人を狙っているのです。当たり前ですが、警察権が及ぶのは日本国内だけです。もちろん弁護士も同様で、容疑者が海外にいれば告発はおろか、口座を凍結することすらもできません。海外の口座や海外のサイトに送金する際には、慎重に慎重を重ねるぐらいが丁度いいでしょう。

【3】相談すべきは警察

森川光容疑者

2022年8月8日、国際ロマンス詐欺に関わったとして、森川光(もりかわひかる)容疑者が大阪府警に逮捕されました。被害金額は4億円以上。「美人女医」や「イケメン弁護士」などに成りすましていたということです。

この事件では大阪府警が、銭形警部でお馴染みのICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際指名手配しています。このことから、かなりの数の被害者が被害届を出したと想定されます。

1人や2人じゃ警察は動きませんが、10人20人という人が被害届を出せば警察も重い腰を動かします。国際ロマンス詐欺の被害に遭ったら、すぐに最寄りの警察署に被害届を出してください。みんなで協力して犯人を捕まえましょう!

【4】非ロマンス系もある

ビジネスパートナーを装う

FBIによるとアメリカ人だけでも国際ロマンス詐欺で、年間10億ドル以上(1400億円)の被害に遭っているそうです。これは超高層ビルの建設費に匹敵する金額ということなので、もはや他人事でない感じがします。

ただ「国際ロマンス詐欺」と言っていますが、必ずしも色恋を伴うものとは限らず、友人関係やビジネスパートナーを装って騙す手口も確認されています。

インスタグラムやX(旧ツイッター)の友達申請から始まることが多く、輩によっては半年以上かけて相手をじっくり口説くこともあるようです。自分から金の話をすると怪しいので、相手がするのを待っているのです。

そうしてタイミングを見計らって「絶対に儲かる方法を知っているんだけど?」などと持ち掛け、FX、株式投資、仮想通貨、オンライカジノ、BO(バイナリーオプション)などのサイトやアプリを紹介するのです。「同性だし、色恋仕掛けで来てるワケじゃないから大丈夫かな?」そう思わせることで、相手を安心させています。

【5】2つの大事なポイント

2つの大事なポイント

覚えておいてほしいポイントは以下の2つです。
1.手口を毎回少しずつ変えること
2.相手を信用させるために全力を尽くす事

ニュースなどで大々的に報じられた手口と同じことをするほど詐欺師はバカじゃありません。彼等は毎回手口を少しずつ変え、詐欺だとバレないように画策します。

2つ目も重要です。「国際ロマンス詐欺の首謀者は、絶対にテレビ電話をしません」と報じられれば、テレビ電話をして信用させようという輩が出てくるでしょう。

「検索してもHITしないやり方だから大丈夫」「知り合って長い信用できる友達だから安心」このように思わずに、インターネット全般において「海外の人と絡む時&課金をする時」には十分に注意をしていただきたいと思います。

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記事執筆者:鬼島慶介